世界中で最も多くおこなわれている美容治療の代表が、ボトックス注射ではないかと思います。通常、顔の表情じわ治療につかわれる以外に、エラボトックス、脇ボトックス、スキンボトックス、人中ボトックス?等々の○○ボトックスまで含めると、万能治療、万能薬のように感じてしまいます。
しかし、ここでボツリヌス毒素製剤の本来の作用、効果を考えたとき、イメージではなく治療の意味、効果そして限界も含めて考えてみることが大切かも知れません。
ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)の薬理機序は末梢の神経・筋伝達部分で神経伝達物質アセチルコリンの放出を抑制することで一定の期間筋肉の収縮が抑えられるものです。また、皮フ内のアセチルコリン放出で発汗が促進するため、脇などの多汗症にも利用されています。
このようにアンチエイジング目的でのボツリヌス毒素製剤の注射は顔の表情を強めたり、繰り返すことで刻まれていく表情じわの治療、予防がメインであると言えます。
具体的には、目尻のカラスじわ、額の横じわ、眉間の八の字や縦じわ、鼻根部位の横じわが最も適応になります。 その他は、唇周囲の縦じわ、顎の梅干じわ、頸部中央の七面鳥じわも、比較的効果的です。
反面、笑えなくすることでほうれい線が深くならないからと言って使用することはありません。こちらは、ヒアルロン製剤により皮ふの窪みやラインを調整することで治療が可能です。
また、顔の表情筋は皮膚と骨やじん帯と繋がっていることで表情を作っています。そのため、ボツリヌス毒素製剤を打つとリフトアップするという説明には無理があります。
例えばエラに打つことで、咬筋の萎縮が起きる(収縮力が少し弱くなることでの筋委縮)ことでエラが張って見える人が改善される効果はありますが、もともとそこまで太くない人がシャープなV字になると期待して打ちすぎると、逆に頬の張りがなくなり口角周囲がたるんで見える様になります。
もう一つ、ボトックスの効果は早ければ3~4ヶ月、長くても半年以内です。当然、筋肉の動きは時間とともに戻ります。その為、3~4ヶ月おきに数年打ち続けている患者さんがいます。それは、シワの治療というより、常に動かなくする為に打つという感覚になっています。
本来表情は筋肉を動かすことで表現されます。本来、長年動かしたことでできた表情じわが、刻みじわにならないように、あるいは既に刻みじわを改善するために、何度かは継続することで表情の管理がある程度できるようになれば様子を見るべきかも知れません。
ボトックスを打ち続けることが、アンチエイジングや若返り老化予防になるわけではありません。
注射一つでも十分に診断と説明を受けて、何が本当に必要かを考えイメージだけではなく治療内容を理解すること理解が不十分なら質問して納得してから受けることが重要です。


